株式会社設立の際にまず考えなくてはならないのが、
どのような会社にするのか?
ということです。
どのような会社にするのか?
これは非常に重要で、
会社を作るために必要な定款でいうと、
「目的」
という個所に当たります。
この目的は非常に重要です。
なぜ、会社の目的が重要か?
というと、この目的で記載された範囲内でしか会社は動けないからです。
「えらい面倒くさいな~っ」
と思われるかもしれませんが、会社法という法律がそうなっている以上それに
従わなければならないからです。
例えば、自動車の販売業を目的とした会社だったら、自動車の販売に類似したことしかできず、
野菜を売るために八百屋をしたりすることはできません。
このように、会社の目的=その会社ができることを指しますので、気をつけてさだめることになります。
許認可と会社の目的
許認可を取る場合には、この目的が重要となってきます。
例えば、許可を得ないとできない商売として、古物の売買があります。
古物の売買は窃盗物が売られてしまうなどの問題があるため、古物を売る人は警察署にて許可を事前に取得しないと古物商をすることができないのです。
そのため、会社設立時において、この古物商を取得することを前提として、古物の売買、具体的にはどのような古物か?
車の売買? 事務用品の売買?
などを明確に定めておく必要があります。
その他産業廃棄物処理業や産業廃棄物運搬業などでも、許可が必要となります。
以上、会社の目的の範囲内でしか、許可はおりませんので、許可との関係で会社の目的も選択するようにしてください。
次に、
会社を設立するに当たって、誰が、役員になるか?
ということが重要となります。
実際、会社は書類上での存在で実際に動いてくれる人(これを自然人と言います)
がいないと機能しないからです。
役員には、取締役や監査役、会計参与などその他ありますが、
会社設立当初においては、「取締役」だけ誰にするか?
をきめておかれればよいでしょう。
会社の名前はどうするか?
会社に名前をつけるということはわが子に名前を付けるのに等しいところがあります。
そこで、名前を付ける場合は慎重に行う事をお勧めします。
なお、会社の名前として使用できる文字、記号には制限がありますのでご注意ください。
会社の資本金はどうするか?
会社の資本金、商売でいうところの元金はどうするのか?
という点ですが、いくらでも良いというのが基本です。
昔と違って、いくら以上ないと株式会社にはできませんよ!
という決まりがあるわけではありません。
そのため、1円からでも会社は作れます。
しかし、1円会社やそれに近い低廉な金額で会社を作ってしまうと、
会社設立後、会社の財産を使用できるお金が1円になってしまいます。
今の時代、1円では何も買えません。
そのため、通常は、1円会社などは存在しないのです。
ほとんどの方の場合、500万円からが多いように思いますが、
会社として事業を運営していく上で必要なお金を用意する。
という考え方で資本金を決めてください。
なお、資本金の金額で注意するのが一点、それが、
資本金と消費税
という問題です。
1,000万円以上、資本金を用意してしまうと、最初から消費税がかかってきますが、
1,000万円未満の場合は2期分まで、最大2年間は消費税を納税しなくてもよいのです。
その点が資本金を定める際の注意点です。
以上を前提としたうえで、外国人の方の場合は、他の要素も考えなければなりません。
それが、ビザです。
具体的には、日本と査証免除国であれば問題ないのですが、査証免除国以外の国が日本において会社を設立して、投資経営などの在留資格を得るまでが問題となります。
外国から日本での会社設立・運営
外国人、ここでは中国の場合を例に取ってみましょう。
具体的には、中国人の方が日本に会社設立のために来るためには、商用目的による短期滞在での入国が必要となります。
商用目的による短期滞在
この商用目的による短期滞在を申請(当該申請書類中の滞在予定表は90日のビザが取得できるようにできるだけ細かく記載します。)し、ビザが下りれば、日本に来ることができます。
日本に来て、会社を設立する前段階である短期滞在の申請の時点において確認が必要となるのです。
次に、日本に来た後は、外国人登録をすることになります。
会社設立のための外国人登録
会社を設立するためには、書類の中に、印鑑登録証明書が必要となります。
そのため、当該印鑑登録証明書を取得するために、外国人の方には、外国人登録をしてもらうことになります。
当該外国人登録は、短期滞在の在留期間が15日であってもすることができますが、会社設立及びその後の手続きのためにも、できるだけ、90日を取得することをお勧めします。
外国人登録をした後に、印鑑登録をするのですが、必ず印鑑登録をするための印鑑をご用意しておいてください。
印鑑の材質はゴムなどの変形してしまうものではなく、木、角などの硬度の堅いものを御使用ください。
印鑑登録証明書が出来上がれば、今度は、事務所所在地を定めたりしていき、会社の骨格を作り上げていきます。
そして、会社の骨格ができあがれば、会社のルールブックとしての定款を作成していくことになります。
定款認証手続き
なお、株式会社の場合、この定款という書類を公証役場にて認証してもらわないと、会社を設立するための法務局への登記ができません。
この定款作成から代理による認証手続きは行政書士もしくはご自身にて行います。
但し、電子定款認証手続きが可能な行政書士に依頼した場合には、定款にある税務署への税金(収入印紙)の40,000円を節約することができます。
定款ができあがれば、次は、資本金の振込です。
資本金
定款にて定めた資本金を銀行に預け入れ、通帳のコピーを取得してもらう事になります。
この際注意しておいて頂きたいのが、
資本金の預け入れは、定款認証をした日もしくはその後ということです。
具体的なには、平成23年2月1日に定款認証したのであれば、2月1日以降に資本金を銀行に預けます。
なお、外国人の場合、後述する投資経営ビザ取得の手続きのために、お金の出所をはっきりしておく必要があります。
お金の出所がはっきりしていないために、ビザを取得できずに、会社の運営を現実的に日本で行うことができない場合もありますので、お気をつけください。
定款認証前の預け入れ対処方法
では、定款認証前に銀行にお金を預け入れてしまった場合はどうするのか?
その場合は、一度お金を出してもらって、再度定款認証日以後に入金してもらうことになります。
面倒くさいようですが、日本の法律がそのようになっておりますので、従う事になります。
今度は、法務局へ会社を設立するための登記申請を行う事になります。
会社と登記
会社は登記した時に誕生します。
そして、この登記手続きを一式行ってくれるのが、司法書士もしくは本人ということになります。
当該登記時に、上記において個人が印鑑登録をした時に個人の印鑑が必要であったように、
会社の代表印などが必要となります。
そのため、入国後、あるいは入国前に、会社の代表印なども用意しておいて頂くことになります。
会社設立後、ビザ申請
日本人であれば、ここまでで、実際に外国人の方が業務を開始して頂ければよいのですが、
外国人の方の場合、会社を日本で運営していくための投資・経営ビザを取得しなければなりません。
具体的には、神戸でしたら神戸入国管理局、大阪でしたら、大阪入国管理局で手続きを行う事になります。
具体的には、会社としての、
□安定性
□継続性
などを証明していかなければなりません。
特に新しくできた会社の場合、上記の安定性・継続性を証明することは客観的な資料ではできません。
そこで、事業計画書や収支計画書を作成していくことになるのです。
また、会社だけでなく、会社経営者としての外国人の経歴等も重要となってきますので、外国人経営者の履歴書なども作成しておかれるとよいでしょう。
次に、ビザ取得のためのポイントしては、
独立した会社の事業所の確保
会社の事業所の独立性
会社の事業所は独立性が必要となります。
どの程度か?
ということですが、理想は、
会社の事業所用の賃貸借契約を行うことです。
しかし、実際には、このような契約を事業開始当初するのは困難です。
そこで、きちんと居住用と事務スペースとが分かれていればよいとされています。
次に、事務所としてしようとしていることを示すために、
表札などをきちんと掲げ、ほとんどが賃貸物件だと思いますので、賃貸人から、事務所として使用する旨の使用承諾書を取っておく必要があります。
